お江戸のキャンディー2

運命の恋人と出会ってはいけない
なぜなら
愛しあった瞬間に全てを思い出す
その先にあるのは恋塵と化す悠久の死
どんな時空にいようとも
それはくりかえす運命の人
たったひとりの 私の男 舞台は下北沢から始まる。ミニシアター「トリウッド」で映画を観ていた北沢白は、あたかもEDOの世界にいる夢を見た。魔物に追われ、フリ松という男にも会った。そのことを館主の松原正親に告げるも話を聞いてくれない。
白の親友・猛は、居酒屋「都夏」の次男坊。兄の龍は店を継ぐことになっているが、隣に開業したボーイズバーの騒音問題を巡り、オーナーの六条と対峙することに。龍は六条の後ろにいた桔梗に心を奪われ、桔梗も龍に運命めいたものを強く感じた。
年に一度の祭りの日、白は白鳥太夫の幽霊に誘われるように姿を消し、白を探していた猛、桔梗を追いかける龍、そして六条も姿を消した…。
100年後のEDO時代 。EDOは男しかいない世界。そして碗田蘭人(ワンダーランド)と何かしらのハンディキャップはあるが心優しく美しい人々が暮らす闇田蔵人(アンダーグランド)の二手に分かれていた。
白は白鳥楼の“白鳥太夫”、龍はそこの女衒(ぜげん)として闇田に暮らし、六条は、碗田の大黒楼楼主、桔梗は“桔梗太夫”として六条の屋敷に暮らしていた。彼らは産まれた時からEDOの住民。猛だけは下北沢の記憶しかなかった。しかし口がきけず白たちに思いを伝えられないが、橙だけは猛の言葉を理解した。
今宵は桔梗太夫のお披露目の日。桔梗を囲う六条は、ついに桔梗が自分のものになると喜びを隠せない。しかし彼は、桔梗太夫よりも人気の白鳥太夫が目障りで、妓有(ぎゆう)に白鳥太夫の暗殺を指示する。
桔梗太夫の花魁道中に集まった民衆は熱狂する。花魁道中を見に来た龍。桔梗太夫と龍の視線が絡む。あまりに美しく妖艶な桔梗太夫に胸が締め付けられる龍。桔梗太夫も荒々しく端正な美貌の龍に気を失いそうな程に心を奪われる。瞬間に運命の恋に堕ちる二人。
一方で橙は、猛から白鳥太夫が殺されると聞き、白鳥楼に急ぐ。白鳥太夫の命は…、そして桔梗と猛の運命の愛のゆくえは…